11日に行われたバレーボールのV・プレミアリーグファイナル、パナソニックvs.堺。パナソニックのリードで迎えたマッチポイント、エンダキ・エムブレイ(堺)のスパイクがブロックにかかり、ボールがコートに落ちた瞬間、堺のセッター、今村駿は両手で頭を抱え、その場に泣き崩れた。MVPに選ばれたパナソニックの清水邦弘がインタビューを受けている間も、歓喜の胴上げが行われている間も、フロアにうずくまり、ひざを抱えたまま肩を震わせている。チームメートが次々と今村にねぎらいの声を掛けるが、その温かい言葉に再び顔をゆがめ、タオルをかぶって泣きじゃくった。
市川忍氏によるコラムです。
中学1年からバレーを始め、セッター一筋でやってきた。順大は主にツーセッター制を用いていたため、大学リーグでの今村の出番は少なかった。V・プレミアリーグでプレーしたいと願ったが、進路が決まる時期になっても、声を掛けてくれるチームは一つもない。そこで、堺の夏合宿に自らテスト生として参加し、やっと契約にこぎつけた。そんな今村にとって、国内最高峰の試合でトスを上げることはプレッシャーよりむしろ喜びだったと話す。
大学では出番の少なかった選手が、シーズンを通して活躍し、全日本の候補にまでなりました。チーム事情も有りつつ、しかし「他の選手は何やっとるんじゃ」という気がしないでもないですが、まずはどこまで行けるのか突き進んで欲しいものです。