「100パーセントの闘争心」を読みました[管理人の戯言]
(2004-12-31 15:11:00)


買いました。そして読みました。

<画像:100percent_no_tousousin.jpeg>

以前当サイトでもご紹介した、吉井妙子氏による「100パーセントの闘争心」です。発売当初、ちょっと高価なもので買い控えていたんですが、あちらこちらで本書の内容について賛否両論の声を聞くにつけ、これは是非読みたいと思って購入しました。読んでからだいぶ時間が経ってしまいましたが、感想など。

どうしてこの程度の内容で柳本監督批判、著者の吉井氏批判の声があがるのか、いまいち理解できません。前評判を耳にしていたので、どれだけ酷い内容なのかとドキドキしながら読み進めたのですが、なんだか拍子抜けです。「酷い内容である」という先入観があったからなのかもしれませんが、読了1週間ほどが経過した今、冷静に思い返してみても、柳本監督を貶める目的で書かれた書籍ではないと感じます。

以下、ちょびっとネタバレかもしれないので、今後読まれる予定のある方はすっ飛ばしてください。

バレーボールは団体競技です。ベンチを含めて12人、監督、コーチやスタッフを含めたウン十人もの人間が集まり、皆が本気で何かを成し遂げようとするのであれば、衝突しない方がおかしいです。衝突しながらお互いを高め合い、磨きあい、認め合い、更なる高みへと登っていくものです。

しかし、監督と選手がお互いを十分に理解するには、1年半という時間は短すぎたんでしょう。最終予選までは偶然にもがっちりと上手く回っていた歯車が、ホンのちょっとしたことが原因でガタガタと音を立て始め、五輪本番までにその修正をすることが出来なかった。これがあと半年、いや、3ヶ月先に五輪が開催されていれば、また違った全日本女子が見られたことでしょう。

まるで柳本監督を批判しているように見えるのは、本書がすべて、選手側の視点に立って書かれているからです。柳本監督側の視点がすっぽりと抜けている為、選手側からの一方的な主張に終始しています。柳本監督が多忙の為、インタビューを行えなかったことは、あとがきでも吉井氏自身が書いています。「監督の視点に立ったドキュメンタリーはテレビで何度も放映されているので、選手側から見た柳本ジャパンの軌跡があっても良いと考えた次第である」と書かれていますが、そこはやはり、監督にもきちんと取材をしてから出版して欲しかったなと思いました。この為に、本書は非常にバランスを欠いた内容になってしまっているからです。

その一点と、既出の雑誌などに掲載された記事と被る部分があって気になったことを除けば、非常に内容の濃い、バレーボールの、特にアテネ五輪を戦った全日本女子チームのファンにとっては、必読の書であると思います。

アテネはスタートに過ぎなかったんだな、と再確認しました。

<画像:100パーセントの闘争心 全日本女子バレーの栄光、挫折、そして再生>
吉井 妙子
文藝春秋 (2004/12/10)
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