遅くなりましたがようやくエントリー。
さて、ようやく「『五輪、世界選手権、W杯と並ぶ世界4大大会の1つ』とは名ばかりの、壮大な練習試合」が終了しました。正直、ワールドリーグやらワールドグランプリと内容的には変わりませんね。そんな毎年世界一決めてどうするんだという。
男子の試合、本当に面白かったですね。内容の良し悪しの前に、とにかくみんなが必死になって、一生懸命、そして生き生きとプレーしている。おそらく、植田監督が作りたかったチーム、そんなチームに近づきつつあるのは間違いないんでしょう。見ていて楽しい、素晴らしいチームが出来上がりつつあります。あれを見て何も感じないバレーファンなんていないはず(と思いたい)。
そういう「戦う姿勢」だけでなく、技術的にも体力的にも戦術的にも大きく前進していることが伺えます。もともとサーブカットのできなかった越川選手や岸本選手のカット精度が随分と向上していること。ラリーの中でもセンターからのクイックを使って行こうという意図が見えること。サーブのミスが減ったこと。サーブで崩してブロックでしとめるという意思がはっきりと伝わってくること。などなど。それらの裏には、練習量もそうなんでしょうけど、中継中にもなんども言われていた「トレーニングによるジャンプ力の向上」。ジャンプ力だけでなく、その他の部分も向上しているでしょう、それら基礎体力の向上により、プレーに余裕が生まれ、良いプレーに繋がっているのは確実です。
正直なところ、管理人は植田監督就任に苦言を呈した一人です。もちろん植田監督本人にではなく、外国人監督を招聘するなどして日本のバレーを根本からひっくり返す良い機会だったのに、結局それができなかった島国根性丸出しの日本バレーボール協会に対してですけど。まぁ、それはひいては植田監督では何も変えられないと思っていたことの裏返しなんです。しかし、その植田監督がここまで全日本男子を変えた。そしてこれからも変わっていくでしょう。それに関しては「申し訳ございませんでした」という気持ちで一杯です。
ただ、これでようやくスタートラインに立つことができただけ、という気もします。日本男子バレー最後の五輪となっているバルセロナ。その出場メンバーである植田監督、泉川コーチ、荻野主将、南(克)選手らの手によって、止まっていた時間がようやく動き出したのではないかと。バルセロナの時点に戻っただけ、というか。実際、今の全日本男子は荻野主将に技術的にも精神的にも負うところが大きいです。大き過ぎます。個人的には荻野主将には北京五輪まで頑張ってもらいたいんですが、彼の膝の調子や年齢的なものを考えると、後継者探しが急務と言えます。荻野主将はあくまでもスーパーサブ的な役割に徹することができれば、チームとしてはベストでしょう。
それにしても、荻野選手の存在の大きさを、改めて思い知らされましたね。197cmの長身で、サーブレシーブができてジャンプサーブも打てる。これだけの選手が今後出てくるのかどうか。後継と(ほんの一部で)言われている北島選手は、どこまで荻野選手に近付けるのか、はたまた追い抜くことができるのかどうか。個人的にはあの癖のあるスパイクフォームがかなり引っかかっていたりするんですが。
あと気になるのは、やはり山本隆弘選手&加藤陽一選手らが今後全日本に召集されることはあるか、ですね。山本選手は、うーん、正直かなり厳しい気が個人的にはしています。植田監督は常々言っているように、サイドにはあくまでも守備力を求めていますから、今のままではちょっと。もしかしてすげーレシーブ練習とかしてますかね。それなら分かりませんけど。加藤選手の場合は、今後の活躍次第だと思います。実はポスト荻野の最有力ではないかと思うのですが、どうですかね。しかしどちらの選手も、一番の問題は「淡々とプレーをこなすタイプである」という点でしょう。あまり感情を表に出さないタイプなんですよね二人とも。山本選手なんか、ちょっとブロックにつかまるとすぐに下を向くし、「もう一本もってこい!」っていうのが無い。加藤選手は、海外でプロとしてプレーして周りにアピールすることの大事さを知ったはずなんですが、こないだの「スポーツ大陸」で見た限りでは、元のおとなしい選手に戻っていました。
とにもかくにも生まれ変わったとは言え、五輪の翌年ということで他国はみな調整段階だろうし、本当の評価はこれからですね。1つの区切りは来年の世界選手権。ようやく動き出した時間がどこまで進むのか、見守って行きたいと思います。